Re Ismスキー企画発案&テスター
岩渕隆二からのメッセージ
[LA-Fへの想い]
[原点への回帰・KO-B]
スキーの破損について
今日はスキーの破損について少しお話をしましょう。
工業製品である以上、スキーも絶対に壊れないモノはありません。
もちろん製造に際しては、ありとあらゆるシチュエーションでの使用を想定して、最大限の強度と耐久性を破壊テストなどでも確認しています。
しかし、スキーというスポーツは、通常の滑走においても通常では考えられないほどの衝撃と負荷が身体にもスキーにもかかります。わかりやすい話をすれば、モーグルのエアー、ランディングでは最大で約4tもの負荷がかかることが、研究結果として報告されています。
つまり、普通にコブ斜面を滑っていたとしても、瞬間的には日常では考えられない負荷を身体とスキーは受け止めているのです。
私たちもごくたまにRe Ismの壊れたスキーを受け取ります。そんなスキーのほとんどが、私たちから見て「身体のかわりにスキーが壊れてくれたんだね」というものです。つまり、そのタイミングでスキーが破損しなければ、その衝撃や負荷は間違いなくその乗り手にかかっていたと思われるものがほとんどです。
ただ、やはりRe Ismのスキーも工業製品です。つまりは、我々が市場に送り出した製品の中でも、ごく稀に初期不良と認めざるを得ないものがあることも事実です。これは、どのスキーメーカーも抱えている問題です。
その逆に、我々の選択した結果として、そのようなケースが発生していることもあります。
たとえばLA-Fのトップシートです。
一部のハードユーザーから「LA-Fのトップシートが剥がれる」との声をうけています。これは別に不良ではありません。たしかにLA-Fのトップシートはつよい衝撃によって、フレーク状に角から剥離してしまうことがあります。でもこれは、我々が上面材として、硬度の高いものを採用しているからです。もっと軟らかい上面材もあるのですが、そういうものは長く使用していると、細かいキズで表面が白く濁ったように見えてきますし、ステッカーのつきもよくありません。
二者択一ではありませんが、この上面材を採用したのにも理由があるのです。
今回の結論です。もし、Re Ismのスキーを使用していて、破損したり「おかしいな」と思うことがあれば、ぜひ私たちに見せて頂けないでしょうか?
折れたスキーは工場で分解し、徹底的にその原因を究明しています。そして、もし初期不良など我々の責任であった場合は、必ず新品のスキーと無償で交換します。また、スキーが身体を守ってくれた、そんな破損の場合でも保証期間内であれば、販売価格の60%で新品のスキーと交換します。
もちろんすべての破損したスキーに関する報告は、そのスキーを購入して頂いた方に納得のいくまでお伝えしています。
それはなぜか?
私たちのスキーを選んでくれたスキーヤーに対する私たちの責任だからです。けして安くない買い物、自分のための1台としてRe Ismを選んでくれたこと。そのことに対する責任を我々はこれからも果たしていきます。
ですから、もしRe Ismのスキーが壊れたとしたら、ご購入頂いた特約店、もしくは我々に直接ご連絡ください。
もし壊れても、次もRe Ismのスキーに乗って欲しい。
これが私たちの一番の願いです。
LA-Fへの想い
LA-Fはいつも私の心の中心にあります。レース用、基礎用、モーグル用に飛び用のツインチップ、さらにはパウダー用のファットスキー。私がいつも思うのは
「スキー用のスキーはどれ?」
です。滑り方を限定してしまえば、そういった「〜用のスキー」もすばらしいモノがたくさんあります。確かにモーグルスキーやツインチップスキーの中には歴史的に見れば、その黎明期において、日本国内で爆発的に売れたスキーもあります。いきなりスキーの歴史的な話になってしまいますが、そういったヒット商品には単純な理由があるのです。
カービングスキー登場以前のモーグルスキー、そして後ろ向きに滑るためにテールが上がったツインチップスキー。そういったスキーが登場し、当時のスキーヤーにヒットしたのは、それが当時の「何でもできるスキー」だったからです。「1台で何でもできるスキー」「どこでも滑ることができるスキー」。その時代時代において、ジャンルにとらわれない多くのスキーヤーの心をとらえたスキーは、やがてジャンルの細分化によって「〜用のスキー」の中に埋もれていきました。そして、細分化されたジャンルの中で「〜用の性能」を特化させた結果、そういったスキーの中でも「何でもできそうなスキー」は、より見えにくくなってしまったのが現状だと思います。「スキーをするためのスキー」が見えにくい現在、ジャンルにとらわれることのない多くのスキーヤーにとって、たくさんのスキーの中から
「自分にあった1台」を選ぶ
のは、ある意味大変な作業になってしまったように感じるのは私だけでしょうか?
だから私はLA-Fを開発するに当たって「私たちがスキーをするのに必要なスキー」を目指しました。そして、これからも常にLA-Fという名前を冠したスキーは「スキーをするためのスキー」でなくてはいけないと考えます。Lost And Found=LA-F、私や私の友人達はもちろん、ひとりでも多くのスキーヤーに「スキーって楽しい!」、そんな気持ちを再発見して欲しいのです。
これ以上、細かいことは言いません。LA-Fに乗って雪の上に立ってみて下さい。私の言いたかったことを、すべてLA-Fがみなさんに伝えてくれると思います。
原点への回帰・KO-B
KO-Bは私にとって、まったく新しいチャレンジであると同時に、
原点への回帰
です。
以前はモーグル競技用のスキーを手がけたこともありました。しかし、そんなモーグル競技用のスキーにいつも疑問を持っていたのも事実です。
これだけカービングスキーという概念が一般化し、10年前から見ればすべてのスキーの形状が劇的な変化を遂げました。しかし、モーグル用のスキーは未だにウェストも細く、形状もストレート、いわゆる前世代の形状のままです。世界的なモーグル競技人口の減少に伴い、海外メーカーはモーグルスキーの開発から撤退していきました。さらに、モーグル競技は人工的に作られたコブしか競技の場として認めようとせず、巨大なキッカーから繰り出される、中国の雑伎団顔負けの曲芸的な3Dエアや、スピード編重の採点方法に、
スキーというスポーツからどんどん離れていった
ように思います。
本来、モーグル競技というよりも、フリースタイルスキーの出発点というのは、ゲレンデにあるコブ斜面でどれだけカッコよく目立つか?にありました。日本でモーグル競技がクローズアップされたのも、ゲレンデのコブ斜面をカッコよく滑ってくる姿に、みんながあこがれたからだと思います。
日本のゲレンデ事情を考えると、コブ斜面というのはある意味避けては通れません。そして、そんなコブ斜面をカッコよく滑り降りてくることは、上級者としての一つの指標にもなります。
私の周囲には、そんな
「コブ大好き!」な友人
がたくさんいます。そして、苦手なコブを克服して、上級者の仲間入りを目指すスキーヤーも。そんなコブを志す友人たちのほとんどは、モーグル用のスキーを愛用してきました。性能はもちろん耐久性を考えると、コブを滑るスキーの選択肢が他になかったからです。彼らはそんなモーグル用のスキーで、整地はもちろん雪が降ればパウダー、パークにも果敢に挑んでいきます。でもサイドカットがストレートに近くウエストも細いスキーでは、コブ以外のシチュエーションで限界が低すぎます。つまり彼らは板のせいでコブ以外のシチュエーションでは、スキーの楽しさを半分も味わえていない。常々そう感じてきました。
彼らの
スキースタイルにあったスキーが作りたい!!
ずっと温めてきた思いを形にしたのがこのKO-Bです。
しかしKO-Bを完成させる作業は、未開の地を歩くようなモノでした。
LA-Fはある意味スキー産業の経験に沿うかたちで、トラディショナルな手法で作り上げました。誰が乗っても前から乗っていたような安心感を得られることを追求するためです。でもKO-Bはまったく違うアプローチが必要でした。モーグル競技用のスキーを作る作業は、言ってしまえば簡単です。現在の限定された人工コブの形状と巨大な人口のエア台、その2つの要素と、選手の技術特性に合わせたスキーを考えればいいだけですから。その中にも新しい提案や手法は取り入れられますが、私がKO-Bに求めていたのは、競技で成績を出すことではなく、コブを志すスキーヤーがコブの中での新しい自由を獲得し、彼らのスキーの楽しさを広げられることでした。
自由を広げる
というキーワードはRe Ismのスキー開発に当たって、最大のコンセプトであると同時に、我々にとっては最も高いハードルです。だからこそ、KO-Bの開発には従来の概念にとらわれない自由な発想と、広い可能性の探究が必要と考えました。
スキーの芯材一つとっても「なぜウッドコアがありがたがられるのか?」、構造にしても「なぜサンドイッチ構造がいいと思われているのか?」そんな根本的な疑問を一つ一つ検証していく作業に、気の遠くなる時間を費やしました。もちろんそこにはきちんとした理由があります。でも、逆の見方をすれば、ウッドコア+サンドイッチ構造=最高のスキーという図式にも、否定すべき点は見つかります。そして、ありがたいことに株式会社ブルーモリスには、ウッドコアを凌駕するほどのPUコアに関する技術的な蓄積がありました。
とにかくKO-Bに乗って驚いて下さい。LA-Fに乗ったことのあるヒトなら、明らかに違う。でも
どちらもRe Ismのスキー
だということを実感できると思います。
LA-Fがスキーというスポーツのあらゆるシチュエーションを想定して作られたスキーだとするなら、KO-Bはコブを滑ることをメインにしながらも、他の斜面でも自由を獲得するスキーです。でも、どちらもゴールは一緒です。
スキーはこんなに楽しいモノ
・・・これがみなさんに私が一番伝えたいことだからです。
[スキーの破損について]
[LA-Fへの想い]
[原点への回帰・KO-B]
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